ディーフがいなくなって
私の生活が何か変わったかというと
何も変わりはしない。
毎日が淡々と、ただ淡々と過ぎていくだけのことだ。
その淡々さにつまらなさを感じ始めたのは
少しは前進している証拠なのだと思う。
“ 自分の感受性くらい自分で守ればかものよ ” だ。
もしまた犬が目の前に現れて
そしてその犬が、命の危険にさらされているとしたら
出会った一番最初の犬を迎えることにしようと
心に決めた。
決めることを決めた。
そう決めたにもかかわらず、
正直、その犬の風貌がディーフに似ていてくれたらと
未練たらしく何度も頭をよぎっていた。
そんな思いを追い払いながら
今までやって来た犬の境遇なんかを思い起こして
架空の犬を想像し始めた。
大きくて
汚れていて
高齢の雑種。
眼差しまでリアルに想像したりしたけど
現実は全然違った。
全然、全然違っていた。
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