2012年5月31日木曜日

ある日の夫婦から ー 大人って何?


小さな陶器の器には
揚げ物にぴったりの
こだわりのお塩が入っていて
そして小さな器に見合う
小さなお匙が添えてありました。

肘をついたまま高さを保ちつつ
お匙ですくったお塩を
肘を軸にしてゆっくりとお皿の方に移動し
そのまま手首だけを右回転して
向こう側へササッと落としました。

同じ動作をゆっくりと
二度繰り返したのでした。

無言で音も立てずに
ゆっくりとおこなわれる一連の動作を
横に座って
ただ黙って
同じ位に静かにじっと見ていたのでした。

それってもしかして
ギーッ ガシャン とか言いながら
していなかった?の問いに

言ってた と
前を見たまま
静かに答えたのでした。

静かに
ゆっくりとできるってことが大人です。

でも大人って
遠い昔に思っていたのと
全然違います。

全然
全然違います。

2012年5月29日火曜日

可笑しさ18% 不憫さ82%


とかく男のコは女のコのオシッコの匂いが気になるものらしい。

只今、お泊り中の男のコもその例外ではない。
数メートル先から、警察犬の追跡の如く捜査が開始される。
散歩に出ることの目的は一つではないのだ。

捜査の段階から、その執着ぶりは予想されるので
阻止する為に私も心してリードを持つ手に気合いを入れる。
大袈裟に言えばそのくらいに興味深さは頑固な力となるのだ。

昨日のお散歩の時だった。

前方に我が犬、ディーフが残した痕跡がある。
女のコだ。
それに比較的新しいものだ。
ここは早々に先を急がせようと考えていた私だった。

しかし、小指の先にリードをちょいと引っ掛けただけでも
十分なくらいの軽快な足どりにはわずかな乱れもないままに
ヒョイヒョイと鼻歌混じりで通り過ぎて行ったのだ。

あれは、通過点の印にすぎなかったというのか?

最後の一歩が、わずかに踏んだように見えたのが
最初可笑しくもあり、やがて切なくもあり…だった。

その後、またいで通られるよりは
まだ良かったんじゃないかとまで
思いいたった私だった。

なんで私が、自分を慰めなきゃいかんのだろ?


2012年5月28日月曜日

アニマルコミュニケーター


私がブログに、お客様の所のコやよそのお家のコの
写真を載せないのには理由があります。
いやいや、そもそも写真が無いではないか?と…
ごもっともです。
そこはそれとして
先ず、写真を載せると多分何を言っているかを
書きたくなることは必定だからです。

そのコが何を言っているかを書いた場合、
うちのコ、そんなこと言わないとか
そんな言葉使わないと思われることも必定だからです。

アニマルコミュニケーターの方のある本に
心に飛び込んで来る言葉は
そもそも、その時点でコミュニケーションの始まりだとか
そんなことが書いてありました。
この私がそれをスルーさせるはずはございません。

ここに一人、自己満足100%の
アニマルコミュニケーターが誕生した瞬間なのでした。

私事ではありますが、お客様のお家のコでも
通りすがりの名も知らぬコであっても
心に飛び込んで来る言葉というのがあったりもするわけです。
しかし時には、何も無く無視される場合だってあることが
よりリアルに思い込みに拍車をかけるわけであります。

そういうわけで
怪しいアニマルコミュニケーターは
怪しいが故に自己満足の世界を自由に羽ばたく為には
自ら危ない橋は渡らないという定めを課したわけであります。

ご静聴、有難うございました。


2012年5月26日土曜日

犬の感覚


以前、我が家にいたシェルティーのボックは
雨が大嫌いだった。
正確には、雨によって濡れた所を歩くのが大嫌いで
雨の日に足が濡れてまで排泄なんぞ
やってられるかということらしい。

今いるデイーフなどは我慢も限界にくると
ブルブル震え出すので、すぐにわかるのだが
ボックの場合、そんなそぶりは露ほども見せない男だった。

だが、このボック
自分のオシッコを踏むことは全然平気でお構い無しだった。
自分の一部だと考えていたからこそできたのだと思う。
雨でがイヤなのだから、完璧さにくもりはない。
筋が通った男らしい犬と思うこともできたのだが
雨如きで足が濡れる何がイヤだへなちょこめとも感じたし、
言いもしてやった。

人間とは違う感覚は面白いものだ。


ある日、庭を自由にしてお留守番をしていた犬がいた。
突然の雨だった。
ひさしの下に入って濡れずにいることを
願いながら急いで帰ってみると
犬はひさしの下で長々と寝そべっていたらしい。
濡れずにいてくれて良かったと胸を撫で下ろしたのも束の間、
近付いてみると、
半身をひさしの外にして雨に打たせ放題で眠っていた。
その半身、上下ではなく背中側とお腹側の半身で
しかも濡れていたのは背中側だという。

面白い感覚だ。

いや、でももしかしたらこれは
自由を愛する心と人への忠誠心
もしくは義理堅さの現れなのかもしれない。



2012年5月24日木曜日

その後の又三郎


すっかり回復した又三郎ではあるが
病以来、困ったことがより複雑になってきた。

好物が布系という危険な嗜好が
治まるどころか、
もう私の想像をはるかに超えた形へと
変化した。

入院の折りにも又三郎が布を好んで食べることを
先生にお話した。
そうでないと敷いて下さった毛布が
翌日の朝には世界地図のような形になっているとも
限らなかったのだから。
でも、まぁ今回は食事を摂らないことでの入院だった為
こんな失態は免れた。

又三郎の生い立ちというか我が家に来た経緯は
前に書いたのだけれど
こんな風に変な物を食べるのも母親の愛情を
一切知らないことと
いずれ私の手を離れる時にあまりに辛くないよう
私の愛情も極力抑えたことが原因ではないかと
常々思い煩っていたのだ。
母猫に愛情いっぱい育てられたコで
同じことをするコがいるとお聞きした時には
正直少しホッとした部分が無かったと言えば嘘になるが
ポツンと思ったのだ。
何故食べる?又三郎よ、と。

で、長々と書いてきましたが
肝心の最近の又三郎のお気に入り。

先ず、寝床から毛布をズリズリと引っ張り出し
フードのお皿の上に毛布の角の部分をのせます。
そしてフードと毛布を同時に食べます。
ギリッギリッと音をさせながら
フードないしは毛布の一部を噛んで飲み込みます。

ご飯とおかずということでしょうか。

「 ダメ‼ 又三郎っ‼‼ 」 と言うと
『 ニャッ 』と言って止めます。

再開します。

止めさせた
ようで
再開します。

その後の又三郎です。


2012年5月15日火曜日

あゝ それなのに。


あゝ、何を着たらいいのだろうか。

暑くもなく、寒くもなく、気持ちに張りが出て
自分自身快適で、出来るならば他者からは好感度の高い服は
無いものだろうか。

気温の定まらないここ数日、
更年期障害のホットフラッシュと
バージョンアップした体型からくる順応力の無さ。

全てが合間って、着るものが無い…。
着る自信がない。
勇気もない。

寒ければ上から何かを着る手があるのだから
暑さを考え、ここは半袖Tシャツを着たいところだが
いつの間にかチビTと化したTシャツは
逆に暑苦しいし、見苦しい。
それにも増して、息苦しい。

迎えるこの夏を考えると
身が細る思いだ。

ガリッガリのスラッスラだ。


2012年5月9日水曜日

昨日のつづき


若干フードを口にしたものの
ほんの少ししか食べなかった。

車の中ではいつになく大人しかったし
何だか目がうつろだった。

家に着いても大人しかった。
偉そうにしなかった。

ん?

熱、ある?
どうした?
しんどいの?

車の中からずっと気になり、心配になった私。

結局のところ、こうしたことで犬は思いを実現させた。

したり顔の犬に
したり顔ができるくらい何事も無くて良かったと思った私。

食後に私の服で思いっきり元気に口を拭いた犬に
汚くなった服を見ながら
これもいつも通りで良かったと思った私。




2012年5月8日火曜日

ドライフードオンリー


お腹がグゥ~と鳴っているのは犬。
私ではない。
キュルキュル~とも鳴っている。
驚くほど大きな音。
さっきからずっとだ。

空腹ないしは、ある特定の場所に駆け込む状態の時に
効果音として使って頂けないのは勿体無い。
これほどのクオリティの高い音は先ず無いだろうと思う。

犬の状態こそ普通は心配するだろうと
お思いの皆さま。
私も、犬より音に関心があるわけではない。

いたってお腹の調子が良いことは既に検証済みだ。

では何故、このような音が先ほどより
間断なく鳴っているのかというと
犬がある種のハンガーストライキを断行しているからだ。

お皿にはドライフードが入っている。
しかも大盛り。
しかし、量より質だそうだ。
そこに何か美味しいものを加えよというのが犬の主張なのだ。

お皿を見つめながら、私をチラ見するのだが
お皿を見つめるから余計にお腹が空くことになるのだ。

崖っぷちの空腹感。

毎度のことながら
小芝居に発展させる策の甘さ、
それこそがキミの敗因なんだ。

ほらね。




2012年5月4日金曜日

私の未来とその可能性について。


本屋さんが好きな理由の不動の一位は
そこには輝く未来の私の可能性やヒントがあるということだ。

しかし、これは少し前までのことであって
実は最近、そんなものがあるような気がしないのだ。

ヒントはあるのだ。
あるのだと思う。

しかし、可能性が感じられない。

電球がパッとつくような
気分が高揚するような
そんな風な盛り上がり方をしないものだから
輝く未来も、未来の私の可能性も
あの大きな MARUZEN & ジュンク堂 でさえ見つからないでいる。

どおりで町の本屋さんでは見つからなかったはずだ。

問題はその理由だ。

難しいことではない。
わかっている。

Facebook ちんぷんかんぷんでは
私の未来は輝かんだろということなのだ。

それを私は本屋さんではなく、
よりによって爆睡しながらヒクヒクする犬の横で感ずいてしまったのだ。

せめてヒクヒクはしていなかったらと思わずにはいられない。

2012年5月3日木曜日

あれ何? あれは犬のマイブーム。


「 何であんなにアイツは偉そうに言うんや? 」と主人が聞いてきた。
アイツとは犬のこと。
偉そうに言ってるのは、トイレに連れて行けという催促。

「 ねぇ、トイレに連れて行ってぇと言えばいいんじゃないか 」と
主人が可愛く言った。

私もそう思う。

何しろ 『 何してんのよ! トイレよトイレ。
もう!トイレって言ってるの‼ 』
てな具合だから。

こんな会話をしていたのは揃って帰宅した時だった。

何よりも先ず一番に家の中に入って行った犬が
大声でわめいているからだ。

「 あれ、何? 」

「 最近いっつもそう。
真っ先に入って行って、奥から叫んでる。
早く入って来いという意味らしい 」

荷物を先に運び入れていた主人が
「 確かにそう言ってたわ 」と車に戻って来た。

玄関のドアを開けると、
『 お帰りっ 早く早く 』と嬉しそうに犬がいた。

そして、靴を脱いだら始まるのだ。

歩く私の前を行き、
後ろを振り返り振り返り
『 さぁ こちらに、こちらにどうぞ 』と案内する。

「 わかってる。案内して貰わなくても。
ここは私の家でもあるの! 」
とか、ごちゃごちゃ言ってる私を無視して

『 さっ こちらにお座りください 』とくるりと回り、
得意気な顔。

お招きしている自分が気に入ってるのか
お招きしてあげた私を見るのが好きなのか
とにかくお気に入りの小芝居につきあわされる。

仕事が終わって、ホッと一息の我が家に着くなりのこれ。

こうなれば
『 お疲れでしたでしょ? 』まで言わせてやるのだ。