2012年7月27日金曜日
巣から落ちたカラスの子供
昨日、店に着くとスタッフが困っていた。
聞くとカラスの子供が巣から落ちていて、
子供を守ろうと近くを通っただけで親が攻撃してくるという。
確かにいた。
まだ子供だ。
屋上にある広告塔の上に巣があるようだ。
飛ぶ練習でもしていて失敗したのだろうか。
あれでは地面からは到底飛ぶことはできそうにない。
昨日の気温は36℃。
アスファルトの上は厳しいだろう。
何度か遠目にみているうちに子供が見えなくなった。
親鳥が今も見張っているのだから、ひょっとしてそばの用水路に
落ちたのかもしれないと思い確認してみたら、いた。
下に落ちるまでの一段上の所、15センチ弱の幅しかない所にいる。
既に4時間以上経っていた。
相変わらず、親鳥の見張りは続いていて
時折、威嚇の大きな声が聞こえていた。
子供の近くにお水とパピーのドッグフードを置いておいたのだけれど
親鳥が子供に与えたような形跡は無い。
時間が経つばかりだった。
4時になって子供を見ると
目をつぶって口を開いたまま、わずかな草にもたれかかっている。
死んだのかと思うほどに弱ってきていた。
このまま暗くなれば日は陰っても、それはそれで危険も多くなる。
あぁ、考えていても仕方ない。
思った瞬間、子供を両手に掴み、
6階の屋上まで一気に走っていた。
弱っていたはずの子供は大きな口を開けて鳴き叫び、
親鳥たちも鳴き叫び、
私も「 ウォーッ 」と心で叫んで走っていた。
屋上の高くなっている所に子供を置いて
下りる私の足は最早自分のものとは思えなかった。
膝が笑うなどと生易しいものなんかではなく
笑い死んだ膝の化石を、おまけに持ち上げますかっ?
位の勢いだ。
普段は2階に上がるのでさえ足は重く息は切れるのに
6階まで一気に走り切れたのは
( 注 腕を前後に振ることもできなかった状態で )
今後の私の、ある種小さな自信になった。
何か思いが強ければ考えずともやれるもんだという意味で。
そして、振り返り思うのだが
斎藤君、やっぱり私も持っているんじゃないだろうか。
度重なる接近に親たちは攻撃的な鳴き方もしなかった。
私が話せば、わかる何かがある気がするのは初めてではない。
そう、昨日は親鳥たちにこう言った。
「 どうするぅ~? 」
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