2012年1月8日日曜日

危機的状況

カラスが鳴いている。
けたたましく鳴いている。
妙にけたたましいものだから
声の主が何処にいて
何をそんなに鳴く必要があるのだろうと
見上げてみると
近くの電柱にカラスはいた。
大騒ぎの原因はどうやら
その電柱からさほど遠くない電線にいる小鳥らしい。
スズメではない。
大きさも形も何だかちょっと違う。
セキセイインコだ。
うっわ 狙ってるってこと?
ドキドキしだした私をよそに
当のインコはそれが恐ろしい相手で
どんな運命が待ち構えているとも知らないで
楽しそうに飛びまわっている。

ハラハラ見つめる私の首の角度は約60度。
自然口が開かないとしたらおかしいだろう。

結局、インコのことをどう思ったのか
カラスは何処かへ飛んでいった。
カラスの視界に私が入っていたのだろうか。

どこかのお家から
出てしまったのだろうインコのことを考えると
ここは一つ家に来ないかと
そんなつもりで高く腕を伸ばしてみた。
勿論、ここに舞い降りておいでというつもりだ。

仁王立ちのおばさんが60度上向き、口半開きで腕を高く上げている。
そんな私を近くで見つめる子供がいた。
子供も60度上向き、口半開き。
子供に視線を向けると
子供の目には様々な感情が渦巻いているようだった。
子供に怪しいものではないと証明するつもりで
ほらインコがねっと指差す先では
すでに電線だけが揺れていた。

子供は走り去った。

危機的状況なのは私だけ。

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