2011年3月31日木曜日

正体は?

                     
幼稚園児の頃、魔法使いになろうとしていた。
おまじないの言葉がわからないから、魔法がきかないと思っていた。
テーブルのカップの横から恥ずかしそうに覗いている妖精が
見えないことを逆に気のせいにした。
空も飛べるはずだった。
きれいな心になれば叶うと思っていた。
初詣では、きれな心になれますように・・・とお願いしていた。
小学生になってもお願いしていた。
思えば、なんの疑問もないまま突然そんなお願いをしなくなって、
だからでもないだろうけど、こんな大人になり、
こんなままだとは思ってもみなかった。

だから、聞いた時には久しぶりに心が浮き立った。
近所の男の子のお話に。
男の子が話すお友達のお話に。

なんでもお家の人のお話では、頻繁にそのお友達の話をするらしい。
家にいることもあったり、先に保育園に出かけて行ったり・・・。
泊まっているのかと思えばそうでもないらしく、
とにかくその男の子以外は見ることができず、話すこともできないらしい。
お友達の名前は カバチ 。
カバチはいろいろなことを教えてくれるのだそうだ。

私はカバチに俄然興味がわいた。
これぞ、子供の時にしか見えない妖精に違いない。

カバチのことをいろいろ聞いてみても良いというお許しを得て
私は男の子の話から妖精を垣間見ようとした。
この歳になったら、実際もう見えなくても良いのだ。
こういう話だけで十分にあの頃が懐かしいではないか。

そして、返答はこうだった。
さっきまでお家にいたらしい。
でも今日はもうカバチはカバチの家に帰ったらしい。
そしてカバチにはおばあちゃんもいるらしい。
心のどこかにあった霊的なものだったらどうしようという怖さは
祖母と孫という雰囲気だけで解消した。
それにカバチは優しいらしい。

この辺で、そろそろカバチ像をはっきりさせることにした。

「 カバチってどれくらいの大きさ? 」
「 これくらい 」 と 指し示した指の間は5センチくらい。

すごい、まさに理想的な妖精サイズ。

「 で、カバチって女の子っぽいの男の子っぽいの? 」
「 おとこ 」

そうか、おとこなのか。
まぁ、おとこでも全然いるよね・・・。

「 おとこ・・・そっかぁ・・・ 。」
「・・・・・・それで、いくつくらいの歳かわかるかな? 」
「 んーっ????? 」

僅かに頭を傾げた後、


「 42歳!!! 」 と、きっぱり言った。


妖精のイメージには程遠いわ カバチぃ・・・頼むわぁ。


                                                                

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