2012年3月22日木曜日

犬の言葉

うちの犬のワンワンは
『 トイレする トイレする 』と訳すことができる。

基本的には概ねこの訳だけでよい。

いたって無口な犬の為
そうそうおしゃべりはしない。

普通ならば気になって仕方なさそうな
変な物音には無頓着だし
他のコが賑やかにしていようが
そんなものは知ったことじゃないらしい。

食べ物が欲しい時は
坊さんが……いや、だるまさんが転んだ遊びも佳境の
タッチ間際のようにじわじわ顔を近付け
ポタ~っとヨダレを垂らすくらいで
言葉を発するほどの口を開ける必要などない。
それに声にするよりもヨダレの方が反応が面白い。
そして効果的だということもわかっているのだ。

その代わりというのか
目は恐ろしいほどに
ものを言う。
心に語りかけて来る分、時にジワッと
時にビシッとバシッと
ズキンとくる。

大抵の場合が
非難めいて思えるのは
被害妄想だろうか。

しかし、この犬
ここ最近大声を発することがある。

すごく迷惑な話だ。

私の帰りが遅い時は
一緒の犬も帰りが遅くなる。

特に遅くなった時だけ、車から下りた途端
猛烈にワンワンワンワン大声を出す。
夜の町内には不釣り合いな声だ。

訳すと内容はこうなる。

『今、帰りましたよぉ!
この人、今帰ったんですよぉ!
私も今まで帰れなかったんですよぉ!
ご近所の皆々様ぁ お騒がせしておりますぅ! 』

お騒がせは犬の方だ。

「 やめてよっ!!! 」 と叫んでしまうと
事実を認め、知らしめた上に
一番のお騒がせは私になってしまう。

勿論、「 うるさい!!! 」などもっての外。
鬼の烙印まで押されるのは何としても避けたい。

犬の口を塞ぐかのように
ひっちゃかめっちゃかになりながら
家の中になだれ込み
必要以上の小声で「 何でそんなこと言うのよ!? 」の私に
例の目つきだけ残し去って行く。

その時の後ろ姿の足取りの軽やかなことといったら
絶対にfufufuーnnって鼻歌交じりに違いないったらありゃしない。

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