2011年1月7日金曜日

低血圧な犬

                                                     「 もおっ 行くよぉ 」

「 行って来まぁす 」
・・
「 おいていくよぉ お留守番するのぉ 」
・・・

車のエンジンをかけ、もう車内も温かくなっているはず。
カバンも荷物も、全部運び終わっている。

私が家の中の最終チェックをするのを
薄目を開けて見ていたのは知っている。

着替えを済ませ、電気を消したら
夏場はそそくさと玄関に付いて来る。

なのに、冬はそうはいかない。

極度に寒さに弱いうちの犬は、
車内が温まる頃合いをはかっているのだ。
その間、寝起きの悪いふりをしているのだ。

「 わたしって 低血圧な、いぬじゃない? 」
って、絶対言ってるに違いない。

ただ単に天国のような寝床を抜け出すことが苦痛なだけなのだ。

わざわざ私は靴を脱いで、お姿を見ながらまたお誘い申し上げるのだ。

「 もう、いてなさい! 」
!!!!

これ以上は、おいて行かれると判断するのか、崖っぷちの瀬戸際で
やおらむっくり起き上がると
猫のように、先ず体を山のように縮めてから、ぐいーっと伸ば~す。
そして今度はまたゆっくりと、片足ずつ時間をかけて伸ば~す。
ゆっくりしているのになぜかよろけ、ゆっくりしすぎて又よろける。

口はここまで開きますよ~ と 教えるつもりか、
視線を私に向けて大あくびを1つする。

口が閉じられるや否や、私は後ろに付いて来ると疑わず玄関に向かう。
何故なら、犬はもう限界なのを知っているし、
私は本当に時間的に限界なのだから。

靴に足を入れて振り返る。
疑わないはずはなく、
やっぱりいない。
鼻先すら、鼻息すら存在しない。

のどを潤わせていらっしゃる。

温かくして寝ているものだから、潤す程度では終わらない。

結局、お腹から冷えてきた犬は
かなり温かくなった車に乗った途端に
ここは北限か?と勘違いするほどに
ガタガタ震え、歯をガチガチさせるのだ。

「 ちゃんと温めておきなさいよっ 低血圧なんだからぁ 」 

絶対に思っているに違いない。



                                                               

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