2011年2月2日水曜日

道路にウミガメ

                                                    

昔 (  またも昔 ) 、スタッフを送って通った道に、ウミガメがいました。
夜の9時頃のことです。
前の日からの雨は、その日もずっと止むことがなく、
夜になって、ようやく小雨になっていました。
住宅地の一角に残った田んぼがありました。
道は両方を田んぼに挟まれていて、
田んぼには畦と、田んぼに引き込むお水と流れ出るお水がありました。

私の車のライトが照らし出したのは
そこから這い出したまま、じっとしているウミガメでした。


発見するやいなやライトをそのままに
私たちは車から飛び降り、カメの元に走りました。

前日からの雨が助けになったのか、場所が田んぼで良かったのか
カメの手足は丁度良い具合に弾力があり、湿っていました。
何故、そして何が丁度良いのか今はわかりませんが
その時は一先ず安堵したのを憶えています。

そして2度、3度と手足を押してみました。
動かないのです。
ぴくりとも、ぞろっとも動かないのです。

カメは死んでしまっていました。

猛烈に腹が立ちました。
いてもたってもいられないぐらいの怒りでした。
怒りのかたまりとなった私たちは
2人して、近くに犯人がいると思い込むようにして
大きな声で
この仕打ちに対し怒りをぶちまけました。

何故、大きな自由な海からカメを連れ帰ったのか?
その上何故、捨ててしまったのか?
何故、こんなひどいことができるのか?

許せない!
いい加減にしろ!

かわいそうで、かわいそうで、どうしようもなく、
かわいそうに、かわいそうにと言いながら
車のライトの中でカメをずっと撫でていました。

それから、もっとひどいことがあったことを知りました。

カメの手足にはそれぞれに小さな穴が開いていました。

頂点をはるかに超える怒りに血が逆流したほどです。

自由を奪い、虐待までしているなんて、ひどすぎるっ!!

声はさらに大きくなっていたのだろうと思います。

こんなこと こんなことを・・・と胸にこみ上げるものがありました。

それからです。
次に車のライトが照らしたのは
身体から少しだけ飛び出た新聞紙でした。

身体から新聞紙・・・?

しばらく、事態が飲み込めず、
ややあって2人同時に全てがわかりました。

そして無言になったまま車に乗りました。

放心状態でした。

そして何年かバカ話みたくなっていました。

剥製をどうするべきなのかを考えていたのに・・・。
道路上に動物の死体を置いてきてしまったことで眠れなかったのに・・・。

翌日の早朝、すでにカメはいませんでした。
誰かのお家に飾られているのか、ゴミとして処理されたのか。
海に帰れなかったのは間違いありません。
そう思って胸が痛かったのにです。

なのに、バカ話みたくしていました。


今思うと、怒りも間違っていなかったと思います。
 
でも、同じことがあったとして
今もあんな風に怒り、眠れずにいるでしょうか・・・?
先ず、一目で剥製とわかるかもしれません。

せめてバカ話にはしないでおきます。

                                                               

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