2011年2月20日日曜日

アスリート犬違う!

                                                      犬が寝ている。
手足を伸ばして寝ている。
手足の先が少しだけ、横に座る私の太ももに触れている。

最近こうしてお互いを邪魔にならない程度、
でもお互いを確認できる程度の距離感で
帰ってからの時間を過ごしている。

まぁ、私的にはいい関係と言えなくもない。

一昨日もこういった距離感でもって、お互い自分の時間を過ごしていた。

私は本を読んでいた。
犬はいつものようにほんの少しだけ私に触れながら
いつものように寝ていた。

犬は夢の中で走り出した。
海岸を楽しげに走る恋人たちのように・・・。
「 あははは 」 「 あははは 」 口元はだらしなく揺れていた。

しばらくして、本が読めなくなった。
私の身体が揺れていた。
私にあたる足先は走るほどに力強さを増していく。
犬は海岸とも恋人とも別れを告げ、マラソンに生きる選択をしたようだ。
かなりの距離を走りこんだ後、走って来た道を振り返り白目をむいた。

犬は走るということだけに甘んじてはいなかった。
アスリート犬はトライアスロンに挑戦すべく、自らを過酷なまでに追い込んでいった。
私は正座をし、犬を見守った。

犬は泳ぎ、自転車に乗り、走り、   大変な様子だ。

私は心配になり、リタイアさせようと決心し、身体を揺すった。
2度目のスイム中だったのか、波と思い込んでか頑張るつもりだ。
手足をどうしても止めないのだ。
こうなったら仕方無い。
頭を持ち上げ揺すってみた。
大きく揺すってみた。
えーーーーーっ!

大波を待ち構えるサーファー犬になっていた。

犬は自分に 酔っていた・・・。

私は急に不安になり、何がなんでも目覚めさせねばとあせりだした。

アスリート犬でもサーファー犬でもない。
きみはただの低血圧犬なんだ!

耳をめくり、口をつけて名前を呼んだ。
不安はいささか大きめの声を出させた。

一気に犬は目覚め、それと同時に非難と困惑の目で私を見つめた。


「 何ーーーーーっ!?  私から逃げてたっていうつもり違うやろうねーっ!? 」

                                   

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