出勤の車の中。
助手席の犬を見るといい笑顔だった。
いい笑顔なのに上瞼に蚊がとまっていた。
こんなに可愛い笑顔でいるうちのコに、
卑怯な場所を。
許さん!と思った。
場所が場所だけにバシッとも叩けないので、
飛ばせてからバシッとしてやろうと思っていたのに、
思えば飛ばせた余裕がもう負けを決めていた。
案の定バシッどころか、
離陸する飛行機を眺めるように
ただ見送っただけだった。
見送られた蚊はもう手の届く所にはいなかった。
見つめる犬に視線を戻し
「 笑ってるのはいいけど
蚊がとまっていたことに少しは気がつきませんでしたかっ?! 」
聞くしりから、私の上瞼は痒かった。
0 件のコメント:
コメントを投稿